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【感染症】第3波の混乱に巻き込まれないために


社会的新型コロナウイルス禍がはじまって以降、働く人の健康管理について、半年近くかけて具体的な対策と事例を示したところですが、メディアでは、社会的新型コロナウイルス禍第3波で、さらに社会が混乱するおそれがある科学的な情報(以下「混乱リスク情報」という。)が発信されています。

 混乱リスク情報に関する注意喚起と適切な働く人の健康管理の整理を示します。


○働く人の健康管理

 働く人の健康管理は、平成11年労働省告示第53号「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」等、体制の整備、労使協議、リスクアセスメントに基づく優先順位をつけての対応になります。

※ 労働安全衛生マネジメントシステムについて

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05821.html

※ 新型コロナウイルスから考えるリスクアセスメントと予防

https://www.soumunomori.com/column/article/atc-174501/

 労働衛生上リスクアセスメントは、危険の重大性と可能性の2軸で評価することになります。その理由は、科学的には、理解の評価は軸(基礎科学的には次元といい、労働衛生上はリスクの量と頻度という、全く別な物差しを使います。)が多いほど楽になるからです。中学で方程式を勉強した際に、未知数が1つの一次方程式より、未知数が2つの連立方程式を勉強した方が理解が簡単になった経験がある人もいると思います。

 科学的な理解の原則は、評価するべき事項を増やして、共通項を整理することです。文学的なわかりやすい表現も必要ですが、利益を出すためには科学的な表現も組み合わせることが重要です。


○1軸評価は「混乱リスク情報」

 評価するべき項目を増やすことが、科学的な理解の向上につながることを説明しました。 

 従って、評価するべき項目を1軸でしか表現しないということは、科学的にわかりづらく、かつ、文学的には定量的表現をしており、分かりやすく見えることになります。そのため、正しそうであるが、情報が不十分な混乱リスク情報になってしまいます。

 リスクアセスメントは評価の軸を増やすほど、全体増を具体的に見える化することができますが、1軸であればその他軸がブラックボックス化されてしまうため、科学的には理解が困難になります。さらに、表現を操作することで、数値を操作することもできてしまいます。

 企業の利益を不当に侵害されないために、労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針等に基づいた適切なリスクアセスメントを行ってください。


○1軸評価の情報が一人歩きするリスク

 令和2年4月15日行政で専門家として招集された厚生労働省のクラスター(感染者の集団)対策班より、新型コロナで対策しなければとの条件付きですが約40万人が致死的になると情報発信され、約40万人が致死的という情報が一人歩きしました(以下「一人歩き情報」という。)がありました。

 しかし、10月初旬現在、致死者は約1500人です。

 確かに、経済を崩壊させるほどの対策を行ったため、その数を減らすことができ、それにより助かった方々もいたのでしょう。一方で、あまりにも数値が乖離し過ぎており、一人歩き情報の直接的又は間接的影響で、どれだけの人が、精神的・社会的に不健康になり、時に自死で命を落としたのでしょう。

 弊社では、逆の事例として、「致死的」になるという健康障害の軸に加えて、どのような対策をとればそのリスクが低下するかの2軸目の表現をすることで、事業所内で安心が得られ、従業員の精神的、社会的健康が向上した事例を示しています。

※ 【事例】新型コロナウイルスに対する労働衛生・産業医対策

https://www.soumunomori.com/column/article/atc-174674/

※ 【事例】感染症に対する個人のリスクアセスメント対応について

https://www.soumunomori.com/column/article/atc-174921/

 1軸の評価は、「もし対策をすれば」等の非定量的情報を付与すれば、その情報発信が責任を負う必要はなくなることから、以下コラムに示させていただいたように、「都合の良い結果は自らの成果、都合の悪い結果と自身は関係ない」という、結果的に後出しジャンケンになってしまい、責任の所在が見えづらく、さらに、社会に混乱をもたらします。

※ 【労働衛生教育利用可】科学と科学的非科学との違い

https://www.soumunomori.com/column/article/atc-174817/

 なお、社会医学系専門医を最も多く擁し、国家賠償等の責任がある行政としては、令和2年4月16日に、内閣官房長官会見で、公表情報について「一専門家としての説明で、厚生労働省の公式見解ではない。」と述べた上で「計算は対策が講じられないことを前提としているが、この前提とは異なって累次の対策を講じ、既に(改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく)緊急事態宣言を発出している。」と示しています。

 素人や別領域の専門家の情報で、儲けられるほど商売は甘くありません。

 第3波に向けて、適切な学問を行い、売り上げを維持増進させてください。


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